臼蓋形成不全症の症状
臼蓋形成不全症は、骨盤側の臼蓋(=屋根の部分)が発育不全のため、大腿骨頭を十分に覆うことができない状態をいいます。
本来あるべき屋根が浅く、かぶりが足りない状態と言い換えるとわかりやすくなるかもしれません。
臼蓋形成不全には、先天性股関節脱臼に起因する先天的な要因(遺伝的要因)の強いもの、または先天性股関節脱臼がなくても臼蓋の発育が不完全な後天的な要因(環境要因)によるものがあるようです。
臼蓋形成不全症の原因
体重の数倍の力がかかる関節ですから、骨頭をうける臼蓋の面積が狭いと、その狭い接触面に集中的に力が加わることになります。(ヒールで足を踏まれると痛い!)
実際に骨頭が、80~90%程度の臼蓋で覆われていることが良好なバランスとされています。
思春期による活動量の増加、あるいは出産を機に体重の増加など種々の要因による過剰な負荷により関節軟骨は少しずつ傷むこととなり、その結果、軟骨に傷がついてすり減ったり、変形を起こしたりして、変形性股関節症を引き起こしやすくなります。
臼蓋形成不全症があっても、若年層には軟骨の厚みは保たれていますが、少しずつ軟骨の変性は始まり、変形性股関節症を将来的に発症しうると予測されます。
臼蓋形成不全症でやってはいけないこと
臼蓋形成不全症の場合、やってはいけないことがいくつかあります。
まず体重を増やさないように注意しなくてはいけません。股関節は動作によって体重の数倍の力がかかる関節ですから、骨頭を受ける臼蓋のかぶりが浅く、面積が狭いと、その狭い点のような接触面に集中的に力が加わるからです。
体重が適正であれば、その分股関節に余計な負荷がかからず、症状があらわれにくくなります。
また、ハイヒールを履くこともやってはいけないことの1つです。ハイヒールは、脚に適度な筋肉がついていないと、股関節に負荷をかけてしまいます。
女性がハイヒールを履き始める20代から症状がではじめ、痛みを感じる人は多いです。
その他、股関節に負荷がなるべくかからないよう、なるべく重い荷物を持つことも避けるようにしましょう。
臼蓋形成不全症の治療
症状の乏しい初期段階では、変形性股関節症への進行の予防が重要となり、体重を増やさない(減量)、股関節周囲の筋力トレーニングが有効な治療法と言えるでしょう。
残念ながら、既に変形性股関節症へ移行してしまった場合には、進行予防と変形性股関節症に対する治療や手術(人工股関節置換術等)を必要とします。
股関節に違和感がある、股関節に痛みを伴っている場合はお早めの受診をお勧めします。
なにより早期発見・早期治療が重要です。
受診を希望される方は下記ページで詳細をご確認いただけます。