A:臼蓋(屋根側)に対する手術(骨切り術)には以下の方法があります。
- 1. 棚形成術(たなけいせいじゅつ)
骨盤から板状の骨を採骨して、これを足りない臼蓋の部分に移植する方法です。臼蓋形成不全が軽い前股関節症から初期股関節症の場合に用いられ、比較的手術侵襲が少ない点が特徴です。
- 2. 寛骨臼回転骨切り術(かんこつきゅうかいてんほねきりじゅつ)
臼蓋を含めた股関節周囲の骨(寛骨)を丸くくり抜き、回転移動させて足りない臼蓋を作る方法です。前股関節症から初期股関節症の場合に用いられ、正常に近い軟骨のある臼蓋を作れる点が特徴です。
- 3. キアリー骨盤骨切り術
臼蓋の部分で水平に切り、横にずらすことにより足りない臼蓋を作る方法です。前股関節症から進行期股関節症まで適応可能ですが、骨盤が狭くなるので妊娠の可能性がある女性への適応は慎重に行う必要があります。
- 4. ルター寛骨骨切り術
臼蓋の発育方向を変える手術です。先天性股関節脱臼治療後に臼蓋形成不全の残存する症例で、3-6歳児に対する処置として適しています。