股関節のしくみ
股関節とはどういうものか
股関節は下肢と骨盤を繋ぐ関節で、荷重関節(体重を支える関節)として重要な関節の一つです。 さらに股関節は強力な靭帯や多くの筋肉により包まれていて、非常に安定な構造となっています。 このために、立つ・歩く・走ると いった動作を安定して行えることになります。
写真の模型図を参考に見ていただきますと、お椀の形をした臼蓋(きゅうがい)が骨盤にあり、大腿骨の先にボールの形をした骨頭(こっとう)がぴったりとはまりこむ構造になっています。
正常股関節レントゲン写真の骨頭は臼蓋で8割以上包まれていると言われています。ですから、股関節は球関節と呼ばれております。
また、球関節であるために大きな可動域を持つことができ、スクワットやあぐらなど大きな可動域が必要な動作も行えることになります。
病的(病気)あるいは外傷(けが)を負った股関節では、この安定性と可動性が制限されることになるため、歩行はもちろん、更衣・靴下の着脱・足の爪きり・車の運転・物の上げ下げ・階段昇降といった幅広い日常生活動作が制限されてしまいます。
股関節は下肢と骨盤を繋ぐ関節で荷重関節(体重を支える関節)として重要な役割をしています。
歩いている時には体重の3~4.5倍の圧迫力が股関節に加わり、走っている時には体重の4〜5倍に増加するとされていて、階段昇降、椅子からの立ち上がりでは、体重の6.2〜8.7倍の力が、さらに、床や低い位置からの立ち上がりでは、10倍の力が股関節にかかります。
普段の日常活動でさえも非常に高い関節力が生じます。この大きな関節力を分散させて関節を保護するためにこの安定した構造が必要となるのです。
股関節痛を引き起こす病気
股関節の痛みを引き起こす原因となる病気には以下のようなものがあります。
- 変形性股関節症
- 臼蓋形成不全症
変形性股関節症とは?
変形性股関節症とは、関節を滑らかに動かすために骨の表面を覆ってクッションの役目をしている軟骨が、何らかの原因によってすり減ってしまうために起こる病気です。
臼蓋形成不全症
臼蓋形成不全症は、骨盤側の臼蓋(=屋根の部分)が発育不全のため、大腿骨頭を十分に覆うことができない状態をいいます。
本来あるべき屋根が浅く、かぶりが足りない状態と言い換えるとわかりやすくなるかもしれません。臼蓋形成不全には、先天性股関節脱臼に起因する先天的(生まれつき)な要因の強いもの、または先天性股関節脱臼がなくても臼蓋の発育が不完全な後天的な要因のものがあるようです。
先天性股関節脱臼とは?
先天性股関節脱臼は、出生前および出生後(出生時)に大腿骨頭が関節包の中で脱臼している状態のことをいいます。つまり、生まれつき股関節が外れてしまっている状態です。脱臼という言葉は、本来ある場所から、違う場所へ移動してしまうことをいいます。
発生率は出産1,000に対して1~3の割合(0.1%~0.3%)、男女比は1:5~9と女子に多いと言われています。また、欧米人に比べてアジア人、特に日本人に多いのが特徴で、その原因は複雑で色々な因子が関与していると考えられていますが、中でも巻きオムツなどを使用し新生児の下肢の動きを妨げるような日本の文化的習慣が大きく影響しているのではないかといわれておりますが・・・明らかな原因として特定されたわけではありません。
先天性股関節脱臼の原因は、全身関節・靭帯弛緩性(関節・靭帯がゆるい)、ホルモン分泌、遺伝的素因などが関与しているとされ、出産前の胎内異常位(お母さんのお腹の中)、出生後の股関節肢位等が関与していると言われています。
股関節の違和感でお困りでしたら・・・・
まずは、ご自身のお身体の状態を正確に知ることが大切です。
状態に合わせた治療を、はやめに始めることをおすすめします。
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